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【完全保存版】ClaudeCodeと第二の脳を連携する方法徹底解説
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『AIエージェントがなんか思い通りに動かない...💢』
『AIなんて全然使えないじゃん...😎』
これ、AIのせいではなくあなた自身の使い方のせいなんです。
AIを使って知識を整理しようとして、こんな経験はありませんか?
ブックマークした知識管理の記事が10本以上あるけど、1つも実行できていない
知識は増えているはずなのに、判断の質が変わった実感がない
海外で話題の「AI Wiki」や「第二の脳」を作ってみたけど、結局何にも使えていない
Claude Codeの制限がすぐにくるようになった...
朗報です。
この記事を読み終えたとき、AIで知識を溜めるだけの状態から「日々の判断に使える仕組み」に変える解決策が見つかるはずです。
物理学専攻の博士課程で、Claude Code×Obsidianの実践を発信し続けている海外のクリエイター、Artem Zhutov氏。
彼が元OpenAI・元Tesla AI部門トップのAndrej Karpathyが提唱した「AI Wiki」を実際に検証し、より現実的な代替手段を提案した記事が、10万ビュー超え、3,600以上のブックマークの大バズり。
今回はその内容をClaude Code初心者向けわかりやすく噛み砕いて解説します。
元ポストはこちらです 👇
https://x.com/ArtemXTech/status/2045912259210485815
AI前提の知識管理術
Claude Codeのユースケースがプログラミング以外でも増えてきている昨今、より性能を向上させる目的でObsidianなどを活用する手法が広まってきています。
日本ではまだまだこれからですが、海外ではかなり事例が増えてきています。
記事や自分の考えのメモをファイルに書き起こし、フォルダを作って、リンクで繋いで知識の地図を作る。
この方法自体は確かに有効ですが、実際問題多くの人がでも1ヶ月も経たないうちに更新が止まって使われないまま忘れ去られてしまいます。
これは「使ってみたけど続かなかった」という、ノートアプリで最もよくある挫折パターンです。
最近はClaude CodeなどAIを使ってこの整理を進めることでより普段使いしやすくなってきています。
この問題に対して「第二の脳」という考え方があります。デジタルツールを使って自分の知識やアイデアを体系的に蓄積・整理する仕組みのことです。
Obsidianなどの知識の階層化の仕組みを実現しやすくするツールと、AIを掛け合わせることで勝手に知識が整理されていく仕組みが実現します。
そこに出てきたのが「AIに自動で知識を整理させる」という発想ですね。
Karpathyは「LLM Wiki」というアプローチを提唱しています。
AIに大量のソースを読ませて、自動でWikiを構築させるという手法です。ノートアプリで挫折した人にとって「AIが代わりに整理してくれる」のは魅力的な話ですよね。
ですが、、、
LLM Wikiの解説動画で最もいいねを集めたコメントは「大多数の人にとって、ほぼ無意味だ」というものでした。
そこで元記事の執筆者Artem氏はこの指摘が正しいのかを検証するために、実際にWikiを構築して、自分のシステムと並行で比較テストを行いました。その結果を一緒に見ていきましょう。
LLM Wikiを実際に使ってみた結果
まず、KarpathyのLLM Wikiがどういう仕組みなのかを見ていきます。
Wikiは3つのパーツで構成されています。
1つ目はソースです。取り込みたい情報源そのもので、YouTubeの文字起こし、記事、PDFなどが該当します。
2つ目はWiki本体です。ここがKarpathy Wikiの肝で、Claudeがそれぞれのソースを読み込んで、要約を作り、登場する人物や概念をページとして整理してくれます。人間が手動でやっていたノート整理を、AIが自動でやるわけです。
3つ目はスキーマです。Wikiの構造をClaude に教える設計図のようなもので、質問をしたときにClaudeが「どこを参照すればいいか」を把握するために使います。
この3つが揃うと、インデックスファイルとエンティティページができあがります。Wikiに対して質問を投げたり、グラフ表示で知識の繋がりを可視化したりできるようになります。
・
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これ、仕組みとしてはよくできているんですよね。
一方で、実際に使ってみるとそううまくはいかないんです。
Artem氏は19のソースをWikiに取り込んで検証しました。並列処理で約20分かかりました。そして10の質問を投げた結果、Claudeは予想していた挙動と全然違う動きをしたのです。
Claudeはインデックスファイルを使わず、毎回ソースの全文を読み込んでいたのです。スキーマを用意して「ここを見て」と教えているはずなのに、実際には全てのファイルを最初から最後まで読んでいました。
その結果、1つの質問に対して44,000トークンを消費。えぐい量です。
10問聞いただけで44万トークンです。利用制限にあっという間に到達しました。
Artem氏はこう指摘しています。
「無料トークンの時代は終わった。2026年1月にはAnthropicのトークンはほぼ無制限で、週間の利用制限に到達するのは極めて難しかった。でも今は明らかに制限が強化されている」
API経由で使おうとすれば、コストはさらに跳ね上がります。Artem氏の見解では、LLM WikiをAPI経由で運用するのは現実的ではないとのことです。個人の知識管理のために、質問するたびに44,000トークンが消える仕組みは、コスト面で持続可能とは言えません。
NotebookLM最強説
Wikiのコスト問題を前にして、Artem氏が対照実験として使ったのがGoogle製のNotebookLMです。
NotebookLMはエンベディングという方式でソースを取り込みます。Googleの最先端エンベディングモデルを使用しているため、検索精度が高いのが特徴です。Wikiのように全文を構造化するステップがないので、取り込みがとにかく速いです。50件ほどのソースを入れてもほぼ即座に完了します。
同じ10の質問を投げたところ、1回答あたり約1分。しかも全ての回答に、どのソースのどの部分から引用したかが明示されます。Wikiでは機能しなかった「参照先の明示」が、NotebookLMでは標準で付いてくるわけです。
さらに、メンテナンスが不要という点も大きな強みです。ソースは加工されず生のまま保持されるので、取り込んだら後は質問するだけです。
Artem氏はさらに踏み込んだテストを行っています。
直近2週間に公開されたClaude Code関連のYouTubeチャンネル、具体的にはHermes Agent、OpenClawなどのチャンネルから21本の動画を1つのノートブックに全部入れ込んで知識の保管庫を作成しました。
そこに「AnthropicはなぜSubscriptionを停止したのか」と質問すると、複数の動画の内容に基づいた回答が返ってきました。1つの動画だけでは得られない、複数の視点を統合した回答です。
これは優秀な人間が質問に回答するときと同じ思考回路です。単発の情報源だけでなく背景情報やこれまでの経験に基づいて回答するという行動が取れるのです。
Artem氏はこれに対して下記のように話しています:
「1本の動画を見ると、1人の意見しか分からない。21本をNotebookLMに入れれば、偏りなく全体像を把握できて、見逃している感覚が減る」
コスト、速度、使いやすさ。「知識を溜める」という目的においては、NotebookLMはWikiを圧倒しています。
ただ、ここで一度立ち止まる必要があります。NotebookLMに知識を入れた。質問すれば引用付きで回答が返ってくる。それは確かに便利です。でもここまでの話は、全て「知識を溜めて、検索できるようにする」ことの効率化でしかありません。
ほとんどの人は結局使いこなせない...
Artem氏はこの記事の中で、最も重要な問いを投げかけています。
「知識をたくさん集めた。で、それからどうするの。Wikiを作った。要約もある。インデックスもある。それで次に何が起きた? あなたは、そこまでやった?」
この問いは、私たちにとっても耳が痛いはずです。
ObsidianやNotionにメモを溜めた。NotebookLMにソースを入れた。AI Wikiを構築した。でも、昨日の仕事で何か1つでも「溜めた知識を根拠に判断を変えた瞬間」があったでしょうか。正直なところ、ほとんどの人はないと思います。
WikiもNotebookLMも、本質的には「知識を溜めるツール」です。溜めた知識に問い合わせることはできます。でも、Artem氏が指摘するように、Wikiには現実世界とのインテグレーションがありません。知識と日々の行動が繋がっていないのです。質問すれば答えが返ってくる。でも「質問すること自体」を日常の中で思い出す仕組みがない。
これは「知識を溜める」と「知識で判断する」の間にある、決定的な溝です。
実際にSkillsのある世界線とない世界線で比較してみましょう。
【Skillsがない世界線】
朝起きて、何となくタスクリストを見て、気分で優先順位を決めます。判断基準は「なんとなく急ぎそう」「上司に言われた」。先週読んだ意思決定フレームワークの記事は、もう思い出せません。NotebookLMに入れた知識はそのまま眠っています。1ヶ月前にブックマークした10本の知識管理記事は、1つも実行されていません。
【Skillsがある世界線】
朝起きると、判断フレームワークが自動で立ち上がります。「今日の最も重要な目標は何か」「先週と同じ種類の問題を繰り返していないか」「今日の時間をどう配分するか」。知識が具体的な問いかけとして、毎朝の判断に組み込まれています。意思決定の記事を読んだだけでなく、その内容が毎日の行動に溶け込んでいます。
この差が、「知識を溜める」と「知識で判断する」の違いです。WikiやNotebookLMはこの溝の左側にいます。溜める効率をいくら上げても、溝は埋まりません。溝を渡る仕組みが必要です。
知識をSkillsに変換する5ステップ
めちゃくちゃ重要な話をします。
知識を「溜める」から「判断に使える仕組み」に変換する具体的な方法を、一緒に見ていきます。
Artem氏は3つのステップを提案しています。
知識からSkillsを作る
Skillsを日常のルーティンに統合する
ルーティンの中でSkillsを実行する
Skillsとは、Claude Codeで定義できる「再利用可能な業務パターン」のことです。一度書いておけば、毎回同じフレームワークが立ち上がります。
日々使いまわせる形に落とし込んで日常運用ができる状態まで仕上げて初めて有効だと言えます。
では、具体的にどうやるのか。Artem氏が例として挙げているのが、投資家として知られるRay Dalioです。
Artem氏はDalioの著書「Principles」をとても気に入っていて、その中の意思決定フレームワークをClaude Code Skillsに変換しました。
同じソース、同じ目標で、WikiとSkillsを並行して構築した結果、Skillsの方が圧倒的に日常で使えたと報告しています。
Dalio式5ステップの意思決定フレームワーク
目標を知る:自分が何を達成したいのかを明確にする
問題を許容しない:目標の障害になっている問題を見て見ぬふりしない
根本原因を診断する:表面的な症状ではなく、なぜその問題が起きているのかを探る
計画を設計する:根本原因を解決するための具体的な計画を立てる
計画を実行する:計画に基づいて行動する
この5ステップをSkillsとして定義した上で、日々のルーティンに組み込みます。
朝のルーティンへの統合
デイリーテンプレートに振り返りプロンプトを仕込みます。毎朝このテンプレートが立ち上がり、Dalio式フレームワークに沿って考える仕組みです。
たとえば朝の時間配分を決めるとき、「今日の最も重要な目標は何か」「それを妨げている問題は何か」という問いかけが自動で出てくる。
知識が「読んだことがある情報」から「毎朝使う判断装置」に変わる瞬間です。
週次レビューへの統合
毎週の振り返りで「今週も先週と同じ種類の問題を繰り返していないか」と自分に問いかけます。
これはDalio式の「問題を許容しない」と「根本原因を診断する」を週単位で回すサイクルです。
同じ問題が繰り返されているなら、根本原因の診断が不十分だということが分かります。
ポイントは、NotebookLMやWikiに入れた「Dalioの5ステップ」という知識が、Skillsに変換されることで毎朝の判断装置として機能するようになることです。知識を溜めて終わりではなく、知識が毎日の行動に組み込まれる。これが「知識で判断する」仕組みの具体像です。
目的に応じてアプローチを使い分けるべき
ここまでの話を踏まえて大事なことを言うと、WikiやNotebookLMが「使えない」わけではありません。
目的が違い、それぞれに適した使い方があります。
下記に整理してみます。
Wikiが適しているケース
Artem氏自身もこう言っています。
「Wikiが本当に輝くのは、1つのテーマにとことん深く潜る必要があるときだ」
PhD論文のように、1つのテーマを長期間にわたって追い続ける場面。チームで共有するナレッジベースを構築する場面。競合分析のように、ソースへのアクセスと精度が求められる場面。
こうしたケースでは、30分かけてソースを取り込むコストは十分に元が取れます。
Claudeがソース全体にアクセスして構造的に整理してくれる能力は、深い研究において大きな強みです。
ただしArtem氏は同時にこうも言っています。
「個人が1つのトピックについて学びたいだけなら、正直オーバーキルだ。1つのトピックのために1時間かけてWikiをセットアップする余裕はない」。
個人の日常的な知識管理には向いていないというのが、実体験に基づいた結論です。
NotebookLMが適しているケース
個人が新しいテーマについて素早くキャッチアップしたいとき。複数のソースを横断して全体像を把握したいとき。Artem氏が21本のYouTube動画をNotebookLMに集約したように、「1時間かけてWikiをセットアップするほどではないけど、1人の意見に偏りたくない」という場面に最適です。
メンテナンス不要で、ソースを入れたらすぐに質問できる手軽さが最大の強みです。しかも、加工や処理が不要でソースは生のまま保持されるので、いつでも原典に戻れます。
始め方もシンプルです。
NotebookLMを開いて、Claudeにトピックに関する動画や記事を探させて、ノートブックに追加する。あとは質問するだけです。
Skillsが適しているケース
日常の意思決定を改善したいとき。
業務フローにフレームワークを組み込みたいとき。WikiやNotebookLMで「溜めた」知識の中から、本当に自分の判断を変える力がある知識を選び出して、Skillsに変換します。知識が毎日使われる仕組みを作る段階です。
個人的にはビジネス現場で活用するならSkills化一択ではないかと思っています。
整理すると、「溜める」「理解する」「判断に使う」の3段階があって、それぞれに適したツールがあるということです。
WikiとNotebookLMは「溜める」と「理解する」の段階で活躍します。そしてSkillsは「判断に使う」の段階で機能します。
最終的なゴールは「知識を持っていること」ではなく「知識で判断できること」です。
どの道具を選ぶかは、自分が今どの段階にいるかで決まります。
まとめ
ここまでの内容を整理しましょう。
Karpathyが提唱したLLM Wikiは「AIに知識を自動整理させる」アプローチ。ただし1質問44,000トークン、19ソースのインジェストに20分と、コストと速度に課題がある
NotebookLMはエンベディング方式で50ソースを即時取り込み。1回答あたり約1分で、全回答に引用が付く。溜める効率ではWikiを圧倒している
しかしWikiもNotebookLMも「知識を溜めるツール」であり、溜めただけでは判断の質は変わらない
知識を「判断に使える仕組み」に変えるのがClaude Code Skills。知識をSkillsに変換し、日常のルーティンに統合し、ルーティンの中で実行する
具体例として、Ray Dalioの5ステップをSkills化し、朝のルーティンと週次レビューに組み込む方法が紹介されている
Wikiは深い研究やチーム用。NotebookLMは即時の学習や横断理解用。Skillsは日常の判断改善用。目的で使い分ける
「知識を溜めて満足する時代」から「知識で判断する時代」へ。まず自分の判断基準を1つ書き出して、Skillsにしてみるところから始められる
出典:
https://x.com/ArtemXTech/status/2045912259210485815
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11:10 PM · Apr 21, 2026
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Claude Codeの制限がすぐにくるようになった...
朗報です。
この記事を読み終えたとき、AIで知識を溜めるだけの状態から「日々の判断に使える仕組み」に変える解決策が見つかるはずです。
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彼が元OpenAI・元Tesla AI部門トップのAndrej Karpathyが提唱した「AI Wiki」を実際に検証し、より現実的な代替手段を提案した記事が、10万ビュー超え、3,600以上のブックマークの大バズり。
今回はその内容をClaude Code初心者向けわかりやすく噛み砕いて解説します。
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日本ではまだまだこれからですが、海外ではかなり事例が増えてきています。
記事や自分の考えのメモをファイルに書き起こし、フォルダを作って、リンクで繋いで知識の地図を作る。
この方法自体は確かに有効ですが、実際問題多くの人がでも1ヶ月も経たないうちに更新が止まって使われないまま忘れ去られてしまいます。
これは「使ってみたけど続かなかった」という、ノートアプリで最もよくある挫折パターンです。
最近はClaude CodeなどAIを使ってこの整理を進めることでより普段使いしやすくなってきています。
この問題に対して「第二の脳」という考え方があります。デジタルツールを使って自分の知識やアイデアを体系的に蓄積・整理する仕組みのことです。
Obsidianなどの知識の階層化の仕組みを実現しやすくするツールと、AIを掛け合わせることで勝手に知識が整理されていく仕組みが実現します。
そこに出てきたのが「AIに自動で知識を整理させる」という発想ですね。
Karpathyは「LLM Wiki」というアプローチを提唱しています。
AIに大量のソースを読ませて、自動でWikiを構築させるという手法です。ノートアプリで挫折した人にとって「AIが代わりに整理してくれる」のは魅力的な話ですよね。
ですが、、、
LLM Wikiの解説動画で最もいいねを集めたコメントは「大多数の人にとって、ほぼ無意味だ」というものでした。
そこで元記事の執筆者Artem氏はこの指摘が正しいのかを検証するために、実際にWikiを構築して、自分のシステムと並行で比較テストを行いました。その結果を一緒に見ていきましょう。
LLM Wikiを実際に使ってみた結果
まず、KarpathyのLLM Wikiがどういう仕組みなのかを見ていきます。
Wikiは3つのパーツで構成されています。
1つ目はソースです。取り込みたい情報源そのもので、YouTubeの文字起こし、記事、PDFなどが該当します。
2つ目はWiki本体です。ここがKarpathy Wikiの肝で、Claudeがそれぞれのソースを読み込んで、要約を作り、登場する人物や概念をページとして整理してくれます。人間が手動でやっていたノート整理を、AIが自動でやるわけです。
3つ目はスキーマです。Wikiの構造をClaude に教える設計図のようなもので、質問をしたときにClaudeが「どこを参照すればいいか」を把握するために使います。
この3つが揃うと、インデックスファイルとエンティティページができあがります。Wikiに対して質問を投げたり、グラフ表示で知識の繋がりを可視化したりできるようになります。
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これ、仕組みとしてはよくできているんですよね。
一方で、実際に使ってみるとそううまくはいかないんです。
Artem氏は19のソースをWikiに取り込んで検証しました。並列処理で約20分かかりました。そして10の質問を投げた結果、Claudeは予想していた挙動と全然違う動きをしたのです。
Claudeはインデックスファイルを使わず、毎回ソースの全文を読み込んでいたのです。スキーマを用意して「ここを見て」と教えているはずなのに、実際には全てのファイルを最初から最後まで読んでいました。
その結果、1つの質問に対して44,000トークンを消費。えぐい量です。
10問聞いただけで44万トークンです。利用制限にあっという間に到達しました。
Artem氏はこう指摘しています。
「無料トークンの時代は終わった。2026年1月にはAnthropicのトークンはほぼ無制限で、週間の利用制限に到達するのは極めて難しかった。でも今は明らかに制限が強化されている」
API経由で使おうとすれば、コストはさらに跳ね上がります。Artem氏の見解では、LLM WikiをAPI経由で運用するのは現実的ではないとのことです。個人の知識管理のために、質問するたびに44,000トークンが消える仕組みは、コスト面で持続可能とは言えません。
NotebookLM最強説
Wikiのコスト問題を前にして、Artem氏が対照実験として使ったのがGoogle製のNotebookLMです。
NotebookLMはエンベディングという方式でソースを取り込みます。Googleの最先端エンベディングモデルを使用しているため、検索精度が高いのが特徴です。Wikiのように全文を構造化するステップがないので、取り込みがとにかく速いです。50件ほどのソースを入れてもほぼ即座に完了します。
同じ10の質問を投げたところ、1回答あたり約1分。しかも全ての回答に、どのソースのどの部分から引用したかが明示されます。Wikiでは機能しなかった「参照先の明示」が、NotebookLMでは標準で付いてくるわけです。
さらに、メンテナンスが不要という点も大きな強みです。ソースは加工されず生のまま保持されるので、取り込んだら後は質問するだけです。
Artem氏はさらに踏み込んだテストを行っています。
直近2週間に公開されたClaude Code関連のYouTubeチャンネル、具体的にはHermes Agent、OpenClawなどのチャンネルから21本の動画を1つのノートブックに全部入れ込んで知識の保管庫を作成しました。
そこに「AnthropicはなぜSubscriptionを停止したのか」と質問すると、複数の動画の内容に基づいた回答が返ってきました。1つの動画だけでは得られない、複数の視点を統合した回答です。
これは優秀な人間が質問に回答するときと同じ思考回路です。単発の情報源だけでなく背景情報やこれまでの経験に基づいて回答するという行動が取れるのです。
Artem氏はこれに対して下記のように話しています:
「1本の動画を見ると、1人の意見しか分からない。21本をNotebookLMに入れれば、偏りなく全体像を把握できて、見逃している感覚が減る」
コスト、速度、使いやすさ。「知識を溜める」という目的においては、NotebookLMはWikiを圧倒しています。
ただ、ここで一度立ち止まる必要があります。NotebookLMに知識を入れた。質問すれば引用付きで回答が返ってくる。それは確かに便利です。でもここまでの話は、全て「知識を溜めて、検索できるようにする」ことの効率化でしかありません。
ほとんどの人は結局使いこなせない...
Artem氏はこの記事の中で、最も重要な問いを投げかけています。
「知識をたくさん集めた。で、それからどうするの。Wikiを作った。要約もある。インデックスもある。それで次に何が起きた? あなたは、そこまでやった?」
この問いは、私たちにとっても耳が痛いはずです。
ObsidianやNotionにメモを溜めた。NotebookLMにソースを入れた。AI Wikiを構築した。でも、昨日の仕事で何か1つでも「溜めた知識を根拠に判断を変えた瞬間」があったでしょうか。正直なところ、ほとんどの人はないと思います。
WikiもNotebookLMも、本質的には「知識を溜めるツール」です。溜めた知識に問い合わせることはできます。でも、Artem氏が指摘するように、Wikiには現実世界とのインテグレーションがありません。知識と日々の行動が繋がっていないのです。質問すれば答えが返ってくる。でも「質問すること自体」を日常の中で思い出す仕組みがない。
これは「知識を溜める」と「知識で判断する」の間にある、決定的な溝です。
実際にSkillsのある世界線とない世界線で比較してみましょう。
【Skillsがない世界線】
朝起きて、何となくタスクリストを見て、気分で優先順位を決めます。判断基準は「なんとなく急ぎそう」「上司に言われた」。先週読んだ意思決定フレームワークの記事は、もう思い出せません。NotebookLMに入れた知識はそのまま眠っています。1ヶ月前にブックマークした10本の知識管理記事は、1つも実行されていません。
【Skillsがある世界線】
朝起きると、判断フレームワークが自動で立ち上がります。「今日の最も重要な目標は何か」「先週と同じ種類の問題を繰り返していないか」「今日の時間をどう配分するか」。知識が具体的な問いかけとして、毎朝の判断に組み込まれています。意思決定の記事を読んだだけでなく、その内容が毎日の行動に溶け込んでいます。
この差が、「知識を溜める」と「知識で判断する」の違いです。WikiやNotebookLMはこの溝の左側にいます。溜める効率をいくら上げても、溝は埋まりません。溝を渡る仕組みが必要です。
知識をSkillsに変換する5ステップ
めちゃくちゃ重要な話をします。
知識を「溜める」から「判断に使える仕組み」に変換する具体的な方法を、一緒に見ていきます。
Artem氏は3つのステップを提案しています。
知識からSkillsを作る
Skillsを日常のルーティンに統合する
ルーティンの中でSkillsを実行する
Skillsとは、Claude Codeで定義できる「再利用可能な業務パターン」のことです。一度書いておけば、毎回同じフレームワークが立ち上がります。
日々使いまわせる形に落とし込んで日常運用ができる状態まで仕上げて初めて有効だと言えます。
では、具体的にどうやるのか。Artem氏が例として挙げているのが、投資家として知られるRay Dalioです。
Artem氏はDalioの著書「Principles」をとても気に入っていて、その中の意思決定フレームワークをClaude Code Skillsに変換しました。
同じソース、同じ目標で、WikiとSkillsを並行して構築した結果、Skillsの方が圧倒的に日常で使えたと報告しています。
Dalio式5ステップの意思決定フレームワーク
目標を知る:自分が何を達成したいのかを明確にする
問題を許容しない:目標の障害になっている問題を見て見ぬふりしない
根本原因を診断する:表面的な症状ではなく、なぜその問題が起きているのかを探る
計画を設計する:根本原因を解決するための具体的な計画を立てる
計画を実行する:計画に基づいて行動する
この5ステップをSkillsとして定義した上で、日々のルーティンに組み込みます。
朝のルーティンへの統合
デイリーテンプレートに振り返りプロンプトを仕込みます。毎朝このテンプレートが立ち上がり、Dalio式フレームワークに沿って考える仕組みです。
たとえば朝の時間配分を決めるとき、「今日の最も重要な目標は何か」「それを妨げている問題は何か」という問いかけが自動で出てくる。
知識が「読んだことがある情報」から「毎朝使う判断装置」に変わる瞬間です。
週次レビューへの統合
毎週の振り返りで「今週も先週と同じ種類の問題を繰り返していないか」と自分に問いかけます。
これはDalio式の「問題を許容しない」と「根本原因を診断する」を週単位で回すサイクルです。
同じ問題が繰り返されているなら、根本原因の診断が不十分だということが分かります。
ポイントは、NotebookLMやWikiに入れた「Dalioの5ステップ」という知識が、Skillsに変換されることで毎朝の判断装置として機能するようになることです。知識を溜めて終わりではなく、知識が毎日の行動に組み込まれる。これが「知識で判断する」仕組みの具体像です。
目的に応じてアプローチを使い分けるべき
ここまでの話を踏まえて大事なことを言うと、WikiやNotebookLMが「使えない」わけではありません。
目的が違い、それぞれに適した使い方があります。
下記に整理してみます。
Wikiが適しているケース
Artem氏自身もこう言っています。
「Wikiが本当に輝くのは、1つのテーマにとことん深く潜る必要があるときだ」
PhD論文のように、1つのテーマを長期間にわたって追い続ける場面。チームで共有するナレッジベースを構築する場面。競合分析のように、ソースへのアクセスと精度が求められる場面。
こうしたケースでは、30分かけてソースを取り込むコストは十分に元が取れます。
Claudeがソース全体にアクセスして構造的に整理してくれる能力は、深い研究において大きな強みです。
ただしArtem氏は同時にこうも言っています。
「個人が1つのトピックについて学びたいだけなら、正直オーバーキルだ。1つのトピックのために1時間かけてWikiをセットアップする余裕はない」。
個人の日常的な知識管理には向いていないというのが、実体験に基づいた結論です。
NotebookLMが適しているケース
個人が新しいテーマについて素早くキャッチアップしたいとき。複数のソースを横断して全体像を把握したいとき。Artem氏が21本のYouTube動画をNotebookLMに集約したように、「1時間かけてWikiをセットアップするほどではないけど、1人の意見に偏りたくない」という場面に最適です。
メンテナンス不要で、ソースを入れたらすぐに質問できる手軽さが最大の強みです。しかも、加工や処理が不要でソースは生のまま保持されるので、いつでも原典に戻れます。
始め方もシンプルです。
NotebookLMを開いて、Claudeにトピックに関する動画や記事を探させて、ノートブックに追加する。あとは質問するだけです。
Skillsが適しているケース
日常の意思決定を改善したいとき。
業務フローにフレームワークを組み込みたいとき。WikiやNotebookLMで「溜めた」知識の中から、本当に自分の判断を変える力がある知識を選び出して、Skillsに変換します。知識が毎日使われる仕組みを作る段階です。
個人的にはビジネス現場で活用するならSkills化一択ではないかと思っています。
整理すると、「溜める」「理解する」「判断に使う」の3段階があって、それぞれに適したツールがあるということです。
WikiとNotebookLMは「溜める」と「理解する」の段階で活躍します。そしてSkillsは「判断に使う」の段階で機能します。
最終的なゴールは「知識を持っていること」ではなく「知識で判断できること」です。
どの道具を選ぶかは、自分が今どの段階にいるかで決まります。
まとめ
ここまでの内容を整理しましょう。
Karpathyが提唱したLLM Wikiは「AIに知識を自動整理させる」アプローチ。ただし1質問44,000トークン、19ソースのインジェストに20分と、コストと速度に課題がある
NotebookLMはエンベディング方式で50ソースを即時取り込み。1回答あたり約1分で、全回答に引用が付く。溜める効率ではWikiを圧倒している
しかしWikiもNotebookLMも「知識を溜めるツール」であり、溜めただけでは判断の質は変わらない
知識を「判断に使える仕組み」に変えるのがClaude Code Skills。知識をSkillsに変換し、日常のルーティンに統合し、ルーティンの中で実行する
具体例として、Ray Dalioの5ステップをSkills化し、朝のルーティンと週次レビューに組み込む方法が紹介されている
Wikiは深い研究やチーム用。NotebookLMは即時の学習や横断理解用。Skillsは日常の判断改善用。目的で使い分ける
「知識を溜めて満足する時代」から「知識で判断する時代」へ。まず自分の判断基準を1つ書き出して、Skillsにしてみるところから始められる
出典:
https://x.com/ArtemXTech/status/2045912259210485815
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