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Claude Code、使ってますか?
僕の周りでも使い始めた人が増えてきたんですが、「インストールしたけど、そこからどう育てればいいかわからない」という声をよく聞きます。CLAUDE.md(プロジェクトのルールを書いておく記憶ファイル)は作ったほうがいいらしい。コマンドも自作できるらしい。サブエージェント(専門AIを分身として立ち上げる仕組み)も便利らしい。でも、全部ゼロから自分で設定するのは正直めんどくさいですよね。
そんな人にぴったりのものを見つけました。
「Everything Claude Code」、通称ECC。
0:00 / 1:32
Everything-claude-code
GitHub(ソースコードの共有サイト)のスター数14万超え。コントリビューター(開発に参加した人)は170人以上。しかも作者は、Anthropic(Claude Codeを作っている会社)のハッカソンで優勝した開発者。
何がすごいかというと、47個の専門エージェント、181個のスキル、79個のコマンド、自動化フック、セキュリティスキャナー。これらが全部パッケージになっていて、Claude Codeに「インストールするだけ」で使えます。
ただ、単にインストール方法を紹介するだけだともったいないので、この記事ではECCの中身の解説に加えて、作者のAffaanがX上で公開している運用テクニック(47万回以上読まれている「Longform Guide」)も噛み砕いて紹介します。コンテキスト管理、トークン最適化、並列実行といった「Claude Codeを本気で使いこなすための考え方」です。
https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
その前に、、、
Xでは発信していないマル秘情報をオプチャで発信予定です。
興味のある方はこちら
https://t.co/9LOoUYvCbO
そもそもECCって何?
一言で言うと、Claude Codeの「強化パック」です。
Claude Codeには6つの拡張機能があります。ざっくり説明すると、CLAUDE.md(プロジェクトのルールを記憶させるファイル)、Commands(よく使う指示をテンプレート化する仕組み)、Subagents(専門AIを立ち上げて委任する仕組み)、Skills(状況に応じて自動参照される知識パック)、Hooks(ファイル変更やセッション終了時に裏で走る自動処理)、Plugins(これらをまとめて配布するパッケージ)。
ECCは、この6つ全部に対して「プロが10ヶ月以上かけて作り込んだ設定」を一括でインストールしてくれるプラグインです。
たとえるなら、スマホを買ったときに自分で1つずつアプリを入れていく代わりに、「仕事で使うアプリ全部入りパック」をインストールする感じ。
ただ、ここが大事なんですが、ECCは「ただの設定集」ではありません。公式のREADME(プロジェクトの説明書)にもこう書かれています。
Not just configs — a complete system: skills, instincts, memory optimization, continuous learning, security scanning, and research-first development. (ただの設定ではない。スキル、直感、メモリ最適化、継続的学習、セキュリティスキャン、リサーチファースト開発を含む完全なシステムだ。)
つまり、Claude Codeの使い方そのものを底上げする「仕組み」なんですよね。
生まれた経緯 : ハッカソン8時間で15,000ドル
ECCの作者はAffaan Mustafaという開発者です。
2025年9月、AnthropicとシリコンバレーのVCファーム(投資会社)Forum Venturesが共催したハッカソンに参加。チームメイトと一緒に、Claude Codeだけを使って「zenith.chat」というサービスをわずか8時間で構築しました。
結果は優勝。賞金として15,000ドル(約230万円)分のAPI(外部サービスと連携するための仕組み)クレジットを獲得しています。
そのハッカソンでClaude Codeを極限まで使い倒した経験が、ECCの原型になりました。「この使い方をするとClaude Codeの出力が良くなる」「こう設定すれば事故が減る」というノウハウを、再利用可能な形にまとめていったわけです。
そこから半年以上、毎日のようにアップデートされ続けて、2026年4月時点でバージョン1.10.0。170人以上の開発者からのフィードバックが反映されたかなり成熟したプロジェクトです。
ECCの中身 : 6つの主要コンポーネント
ECCの全体像を掴むために、6つの構成要素を順番に見ていきます。
1. エージェント(47個): 専門家チームを丸ごと雇う
Claude Codeには「サブエージェント」という、専門AIを立ち上げてタスクを委任する仕組みがあります。ECCにはこの専門AIが47個も定義済みで入っています。
ざっくり5つのカテゴリに分かれます。
「設計・計画系」にはplannerとarchitectがいます。plannerは「ユーザー認証を追加したい」のような要件を伝えると、「まずデータモデルを定義して、次にAPIを作って…」と段階的な計画書を自動生成してくれます。たとえば /plan ログイン機能を追加 と打つだけで、認証方式の選定からDB設計、API実装、フロント実装まで網羅した計画が出てきます。architectはシステム全体の設計判断を担当。「この機能はどういう構造で作るべきか?」に答えてくれる存在です。
「コードレビュー系」にはcode-reviewerがコードの品質や保守性をチェックし、security-reviewerがセキュリティの穴がないかを見てくれます。
「言語別レビュアー」はTypeScript、Python、Go、Java、Kotlin、C++、Rustなど、言語ごとの専用レビュアー。各言語の作法を知っているので、汎用レビュアーよりも精度の高い指摘ができます。
「テスト・品質系」ではtdd-guideがテスト駆動開発(テストを先に書いてからコードを書く手法)をガイド。e2e-runnerがPlaywright(ブラウザ操作の自動化ツール)を使った画面テストを実行してくれます。
「自動化・運用系」にはbuild-error-resolverがいて、コンパイル(コードを実行可能な形に変換する処理)エラーが出たときに自動で原因を特定して修正。loop-operatorは長時間の自動実行を監視して、処理が止まっていないかチェックします。
ポイントは、これらのエージェントが「必要なタイミングで勝手に起動する」こと。コードを変更したらcode-reviewerが動き、新機能の相談をしたらplannerが動く。いちいち「レビューして」と頼まなくていいんです。47個も覚えきれないと思うかもしれませんが、覚える必要がないのがECCの設計のうまいところです。
2. スキル(181個): 知識の百科事典
スキルは「Claudeが状況に応じて勝手に参照する知識パック」です。ECCには181個のスキルが入っていて、ほぼあらゆる開発シーンをカバーしています。
言語ごとのベストプラクティス(Go、Python、C++、Java、TypeScript等)、バックエンドの設計パターン(API設計、データベース、キャッシュ戦略)、フロントエンドの作法(React、Next.js)。さらに開発以外の領域として、記事の執筆、プレゼン作成、競合分析レポートの生成にも対応しています。
181個もあると「全部読み込んだらClaude Codeが重くなるのでは?」と心配になりますよね。ここはうまく設計されていて、「Reactのコードを書いているとき」にはReactのスキルだけ、「セキュリティの話をしているとき」にはセキュリティのスキルだけが参照される仕組みです。必要なときに必要な知識だけ開かれるので、コンテキストウィンドウ(Claude Codeが一度に扱える情報量の上限)を圧迫しません。
3. コマンド(79個): ワンタッチで呼び出す
コマンドは「よく使う指示をテンプレート化して、スラッシュ1つで呼び出す仕組み」です。ECCには79個入っています。よく使うものをいくつか紹介します。
/plan は実装計画を立てるコマンド。plannerエージェントが要件定義書を自動生成してくれます。
/tdd はテスト駆動開発を開始するコマンド。「まずテストを書いて、通るように実装する」サイクルを回します。
/code-review は今の変更内容をレビューしてもらうコマンド。
/security-scan はセキュリティスキャンの実行。1,282個のテストケースでコードの安全性をチェックします(後で詳しく説明します)。
/skill-create はGit(バージョン管理ツール)の履歴を分析して、自分のプロジェクト固有のスキルを自動生成。「自分のプロジェクトに特化した知識パック」を自動で作ってくれるのは、けっこう感動します。
/instinct-status はECCが学習した「直感」を信頼度付きで一覧表示。これも後ほど詳しく説明します。
4. フック : 裏で自動的に走る番人
フックは「特定のイベントが起きたとき、裏側で自動実行される処理」です。ECCのフックは開発の品質を「仕組み」で担保してくれます。
セッション開始時のフックは、前回のセッション(作業の回)で保存したコンテキスト(作業の文脈情報)を自動で読み込みます。「昨日どこまでやったっけ?」がなくなる。
コード編集後のフックは、ファイルを変更するたびにリント(コードの書き方チェック)やタイプチェック(型の整合性チェック)を自動実行。
セッション終了時のフックは、今回のセッションの要約を自動保存。次のセッション開始時にこれが読み込まれるので、途切れのない開発体験になります。
動作レベルは3段階で調整可能。minimal(最小限)、standard(通常)、strict(厳格)。プロジェクトの性質に合わせて切り替えられます。
5. ルール : 絶対に守らせるガイドライン
Claude Codeには.claude/rules/というフォルダにルールファイルを置く仕組みがあります。ECCのルールは言語ごとに細かく整備されていて、TypeScript、Python、Go、Java、Kotlin、C++、Rust、PHP、Perl、Swiftの10言語に対応。インストール時に自分が使う言語だけを選んで入れられます。
ちなみにスキルとルールの使い分けですが、公式ではこう説明されています。「フックは決定論的、スキルは確率論的」。100%守らせたいもの(フォーマット、セキュリティ)はフック経由で強制し、Claudeの判断に任せていいもの(設計パターンの選択など)はスキルで提供する。
6. MCP設定 : 外部ツールとの連携
MCP(Model Context Protocol:Claude Codeが外部ツールと連携するための仕組み)の設定が16種類以上プリセットで入っています。GitHub、Supabase(データベースサービス)、Vercel(Webサイトの公開サービス)などとの連携がすぐ使えます。
ここからが本番 : ECCの「上級テクニック」
ここまでの内容は、いわば「ECCの箱の中身」です。ここからは、作者のAffaanがLongform Guideで公開している運用テクニックを紹介していきます。ECCを使いこなすための考え方が詰まっているので、ぜひ読んでみてください。
コンテキスト管理 : セッションを跨いで記憶を繋ぐ
Claude Codeを使っていて「昨日の続きをやりたいのに、また最初から説明しないといけない…」と感じたことはないでしょうか。
ECCはこの問題を「メモリ永続化フック」で解決しています。仕組みはこうです。
セッション開始時(SessionStartフック)に、前回保存したコンテキストファイルを自動で読み込む。作業中にコンテキストの圧縮(情報量を削減する処理)が走る前(PreCompactフック)に、重要な状態を別ファイルに退避する。セッション終了時(Stopフック)に、今回のセッションの要約を~/.claude/sessions/に保存する。
SESSION 1 SESSION 2
───────── ─────────
[開始] [開始]
│ │
▼ ▼
セッション開始フック ←──── セッション開始フック ← 前回のコンテキスト読み込み
│ │
▼ ▼
[作業中] [作業中](前回の文脈を把握済み)
│
▼
圧縮前フック → 状態を退避
│
▼
終了フック → セッション要約を保存 ──────→
Affaanは、セッションファイルには「検証済みでうまくいったアプローチ」「試したけどダメだったアプローチ」「まだ試していないアプローチと残タスク」を含めることを推奨しています。次のセッションでClaude Codeが「前回ダメだった方法」を繰り返さなくなるので、かなり効率が上がります。
もう1つ、「戦略的コンパクト」というテクニックがあります。Claude Codeには自動でコンテキストを圧縮する機能がありますが、これが作業の途中で発動すると、必要な情報まで削られてしまうことがあります。そこで自動圧縮を無効にして、フェーズの切り替え時(「調査が終わって実装に移る」「機能Aが完成して機能Bに取りかかる」など)に手動で圧縮する。ECCにはこのタイミングを提案してくれるスキルも入っています。
継続的学習 : 使うほど賢くなるinstinctシステム
Claude Codeを使っていると「さっきも同じこと言ったのに…」とイライラすることがありますよね。前のセッションで教えたはずのことを、次のセッションではすっかり忘れている。
ECCの「instinct(直感)」システムは、この問題を解決します。
セッション中にClaude Codeが発見したパターン、たとえば「このプロジェクトではこの書き方をするとエラーが出る」「このデバッグ手法が有効だった」「この回避策がうまくいった」といった知見を、セッション終了時に自動で抽出して保存します。
保存されたinstinctには信頼度スコアがつきます。何度も確認されたパターンほどスコアが上がり、Claude Codeがより積極的に参照するようになる。逆に、一度しか出てこなかったパターンは控えめに扱われます。
Affaanはこう説明しています。「セッション中に同じ問題で2回以上プロンプト(指示文)を打ち直した経験はないですか?あのパターンをスキルとして保存しておけば、次のセッションでは最初から正しい方向に進んでくれます。」
/instinct-status で現在の学習状況を確認でき、/instinct-export で他のプロジェクトや他の人と共有できます。/evolve を使うと、似たようなinstinctをまとめて新しいスキルに昇格させることもできます。
セッション終了を待たず、作業中に「あ、これは覚えておいてほしい」と思ったら /learn コマンドでその場で抽出もできます。
ちなみに、なぜセッション終了時(Stopフック)なのかという点について。ユーザーの入力のたびに学習処理を走らせると、毎回のレスポンスに遅延が発生します。セッション終了時なら1回だけで済むし、セッション全体を俯瞰して評価できるので精度も高い。
トークン最適化 : コストを下げて精度を上げる
Claude CodeはAPI(外部サービスとの連携窓口)の使用量に応じてコストがかかるので、「同じ成果をより少ないトークン(AIが処理するテキストの単位)で達成する」のは大事なテーマです。Affaanはいくつかの手法を紹介しています。
まず、サブエージェントにモデルを指定する方法。エージェントの定義ファイルで、タスクの難易度に応じてモデルを使い分けられます。
---
name: quick-search
description: ファイル検索
tools: Glob, Grep
model: haiku # 安くて速い
---
Affaanの推奨は「タスクの90%はSonnet(中位モデル)で十分。Opus(最上位モデル)に上げるのは、1回目で失敗したとき、5ファイル以上にまたがるとき、設計判断が必要なとき、セキュリティに関わるとき。Haiku(軽量モデル)に下げるのは、繰り返し作業や指示が明確なワーカー的タスク」。
コスト的にはHaikuとOpusの差が5倍あるので、単純作業をHaikuに振るだけでかなり節約できます。
次に、MCPをCLI(コマンドラインツール)スキルで置き換える方法。GitHub MCP、Supabase MCP、Vercel MCPなど、外部サービスとの連携にMCPを使っている人は多いと思いますが、これらはコンテキストウィンドウを消費します。
でもこれらのサービスにはCLIが用意されていて、MCPがやっていることとほぼ同じことができます。たとえばGitHub MCPの代わりに/gh-prというコマンドを作って、gh pr createを中でラップ(包み込んで使いやすくすること)する。機能は同じ、コンテキストの消費は減ります。
ただし、最近はMCPの遅延読み込み(必要になるまでコンテキストに載せない)が実装されたので、コンテキスト消費の問題はだいぶ改善されました。それでもトークンのコスト自体は変わらないので、ヘビーユーザーには依然として有効な手法です。
そして、コードベースをモジュラーに保つこと。1つのファイルが数千行もあると、Claude Codeはそのファイルを読み込むだけで大量のトークンを消費します。しかも途中で情報が抜け落ちるリスクもある。機能ごとにファイルを分割して、1ファイル数百行程度に保つと、トークン効率もClaude Codeの精度も上がります。
動的システムプロンプト : 場面に応じてコンテキストを切り替える
これは上級テクニックですが、知っておくと便利です。
通常、Claude Codeにコンテキストを与える方法は.claude/rules/にファイルを置くか、@ファイル名で参照するかのどちらかです。この場合、Claudeは会話中にReadツールでファイルを読み込みます。
もう1つの方法として、CLI(コマンドラインツール)の起動オプションで直接システムプロンプト(AIに最初に与える指示)に注入する方法があります。
claude --system-prompt "$(cat memory.md)"
違いは「指示の優先度」です。システムプロンプトの内容 > ユーザーメッセージ > ツール結果の読み込み、という階層があるので、絶対に従わせたいルールはシステムプロンプトに入れたほうが確実です。
Affaanはこれをエイリアス(ショートカットコマンド)で使い分けることを提案しています。
# 通常の開発モード
alias claude-dev='claude --system-prompt "$(cat ~/.claude/contexts/dev.md)"'
# PRレビューモード
alias claude-review='claude --system-prompt "$(cat ~/.claude/contexts/review.md)"'
# リサーチモード
alias claude-research='claude --system-prompt "$(cat ~/.claude/contexts/research.md)"'
dev.mdには実装に集中するための指示、review.mdにはコード品質とセキュリティに注目する指示、research.mdには「すぐコードを書かず、まず調べてから動く」指示を書いておく。作業内容に応じてモードを切り替えられるわけです。
ただしAffaan本人も「多くの場合、.claude/rules/との差は微小。ツール呼び出しが1回減るのと、優先度が少し上がるだけ。手間に見合わない人も多い」と補足しています。
並列実行 : 複数のClaudeを同時に走らせる
Claude Codeは複数のターミナル(黒い画面)で同時に立ち上げて、並列で作業させることができます。ECCの文脈では踏み込んだパターンが紹介されています。
Affaanのおすすめは、メインのチャットではコード変更作業、フォーク(分岐)したチャットではコードベースへの質問、外部ドキュメントの調査、GitHubでの情報収集といったリサーチ用途に使い分けるスタイルです。
Claude Code開発者のBoris Chernyは「ターミナル5個にClaudeを立ち上げて並列で回す」と紹介していますが、Affaanは「最低限の並列度で最大の成果を出すのが目標。僕も普段は2〜3インスタンス(実行中のClaude Code)しか使わない」と言っています。無理に並列数を増やすと、管理コストのほうが高くつくことがあるんですよね。
もし複数のClaude Codeで同じコードに変更を加える場合は、Git Worktree(同じプロジェクトの別ブランチを同時に作業できるGitの機能)を使います。
# 機能Aの作業スペースを作成
git worktree add ../project-feature-a feature-a
# 機能Bの作業スペースを作成
git worktree add ../project-feature-b feature-b
# それぞれ別のClaude Codeインスタンスで作業
cd ../project-feature-a && claude
お互いの変更がぶつかる心配がなく、完成後にマージ(統合)するだけです。
並列実行時の管理術として「カスケードパターン」も紹介されています。新しいタスクは右のタブで開き、左から右へ巡回する。同時に注意を向けるのは3〜4タスクまで。それ以上は管理の負荷のほうが生産性の向上を上回る、と。
検証ループ : 「できた」を証明する
ECCの設計思想の根幹にあるのが「検証」です。作って終わりではなく、正しく動くことを証明するまでがタスク。Affaanはこれを2つのパターンに分類しています。
「チェックポイント型」は、タスクを段階に分けて、各段階の終わりに検証基準を設定するパターンです。「フェーズ1:データモデル定義 → テスト → フェーズ2:API実装 → テスト → フェーズ3:フロント作成 → テスト」のように、明確な節目があるタスクに向いています。
「連続型」は、一定時間ごと、または大きな変更があるたびにテストを回し続けるパターンです。リファクタリング(コードの整理整頓)やメンテナンスのように、明確な区切りがないタスクに向いています。
ECCのフックとエージェントはこの検証ループを自動で回してくれます。PostToolUseフック(ツール使用後に走る処理)でClaude Codeが加えた変更をログに残し、code-reviewerが品質チェックをし、build-error-resolverがエラーがあれば修正する。人間が「テスト回して」と言わなくても勝手にやってくれるのがECCの強みです。
サブエージェントの運用術 : コンテキスト問題を解決する
サブエージェントには1つ落とし穴があります。
サブエージェントはメインのClaude Code(オーケストレーター)から「この調査をして結果をまとめて」と指示されますが、オーケストレーターが持っている文脈をサブエージェントは持っていません。だから、返ってくる要約に「肝心な部分が抜けている」ことがあるんですよね。
Affaanはこれを「上司と部下のミーティング要約」にたとえています。「上司があなたをミーティングに送って要約を頼む。あなたはちゃんとまとめるけど、10回中9回は上司から追加の質問が飛んでくる。上司の暗黙のコンテキストを持っていないから。」
解決策として「反復的取得パターン」が紹介されています。
オーケストレーターがサブエージェントに「クエリ(調査事項)+目的(なぜこの調査が必要か)」を一緒に渡す
サブエージェントが結果を返す
オーケストレーターが「これで十分か?」を評価する
不十分なら追加の質問を投げる
サブエージェントが追加調査して返す
最大3サイクルまで繰り返す
ポイントは「クエリだけでなく目的も渡す」こと。目的がわかっていれば、サブエージェントは要約のどこに力を入れるべきか判断できます。
セキュリティスキャン : 1,282テストの防壁
ECCには「AgentShield」というセキュリティスキャンの仕組みが内蔵されています。
npx ecc-agentshield scan
1,282個のテストケースと102個のセキュリティルールでコードをチェックします。攻撃手法の検知、サンドボックス(安全な実行環境)の確認、入力データの無害化チェックなど。
--fixオプションをつけると、安全に修正できる問題は自動で直してくれます。
npx ecc-agentshield scan --fix
セキュリティは「後から対応すると大変」な領域なので、開発中にこまめに回すのがおすすめです。
インストール方法 : 3ステップで完了
2つの方法がありますが、まずは簡単なほうから。
方法1 : プラグインインストール(おすすめ)
Claude Codeを開いて、以下を入力するだけです。
/plugin marketplace add https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
これでECCのマーケットプレイス(配布元)が登録されます。次に、
/plugin install ecc@ecc
これでインストール完了。エージェント、スキル、コマンド、フックが一括で入ります。
ただし、ルールだけはプラグインシステムで配布できない仕様なので、手動でコピーします。
# 共通ルールのインストール
cp -r rules/common/* ~/.claude/rules/
# 自分が使う言語のルールを追加(例:TypeScript)
cp -r rules/typescript/* ~/.claude/rules/
Python、Go、Javaなど、自分が使う言語だけ選んで入れてください。使わない言語のルールは入れなくてOKです。
方法2 : 手動インストール
リポジトリ(プロジェクトの保管場所)を丸ごとダウンロードする方法です。
git clone https://github.com/affaan-m/everything-claude-code.git
cd everything-claude-code
npm install
./install.sh --profile full
Windowsの場合は .\install.ps1 --profile full に変えてください。
--profile fullは全部入りオプション。必要なものだけ入れたい場合は、各フォルダから手動で.claude/ディレクトリ(フォルダ)にコピーする方法もあります。
インストール後にやること
Claude Codeを開いて /plan ログイン機能を追加 のように打ってみてください。plannerエージェントが起動して実装計画を作り始めたら成功です。
まずは /plan と /code-review の2つだけ使ってみるのがおすすめ。この2つだけでも「計画 → 実装 → レビュー」のサイクルが回るので、ECCの恩恵を十分に感じられます。慣れてきたら /tdd でテスト駆動開発を試して、/security-scan でセキュリティチェックを追加して、という感じで少しずつ広げていけばOKです。
動作要件として、Claude Code CLIのバージョンが2.1.0以上であることが必要です。claude --version で確認できます。
他の有名ワークフローとの比較
GitHub上にはClaude Codeの使い方をパッケージ化した有名なワークフローがいくつかあります。ECCとの違いを整理しておきます。
Superpowers(スター数12.2万)はテスト駆動開発を最重視するスタイル。ECCでいうとtdd-guideエージェントと/tddコマンドがこの思想をカバーしています。
Spec Kit(スター数8.3万)は仕様書駆動のアプローチ。ECCではplannerエージェントが要件定義書を自動生成してくれるので、似た体験が得られます。
Get Shit Done(スター数4.4万)は実用重視で並列実行を多用するスタイル。ECCのGit Worktreeとの組み合わせやカスケードパターンが近い思想です。
ECCの特徴は、これらのスタイルを「選んで使える」こと。テスト重視で行きたければtdd-guideを中心に、仕様書重視で行きたければplannerを中心に、スピード重視で行きたければ並列実行を中心に。1つのプラグインの中で、自分の開発スタイルに合わせて使い方を変えられます。
エージェント活用の心構え : 段階的に使う
Affaanが引用しているエージェント活用のランキングが参考になるので紹介します。
Tier 1(使いやすい)は、サブエージェント、メタプロンプティング(AIにプロンプトを考えさせる手法)、最初にたくさん質問する。これらは導入コストが低くて効果が大きい。
Tier 2(使いこなすのが難しい)は、長時間エージェント、並列マルチエージェント、ロールベースのマルチエージェント。高い効果が出る可能性がある一方、設定や管理の手間も大きい。
まずはTier 1をしっかり使いこなしてから、必要に応じてTier 2に手を出す。逆に言えば、Tier 1だけでもかなりの生産性向上が見込めます。
こんな人におすすめ / こんな人にはまだ早い
Claude Codeを使い始めたばかりの人には、正直まだ早いと思います。まずはCLAUDE.mdを自分で書いてみて、Commandsも1〜2個作ってみて、Claude Codeの基本的な使い方に慣れてからのほうが、ECCの各コンポーネントが何をやっているか理解できて効果が高いです。
逆に、Claude Codeをある程度使っていて、エージェントやスキルの設定を自分でゼロから作るのは面倒だと感じている人にはおすすめです。ECCを入れるだけで、かなり整備された開発環境が手に入ります。
チームで使っている場合もおすすめ。ルールとエージェントを共有すれば、全員が同じ品質基準でAIを活用できます。
複数の言語やフレームワーク(開発の枠組み)を使うプロジェクトにも向いています。12以上の言語に対応しているので、言語ごとに適切なレビューとルールが適用されます。
注意点
ルールのインストールは手動です。プラグインシステムではルールを配布できないので、cpコマンドでコピーする手順を忘れないでください。ここを飛ばすとECCの効果が半減します。
全部入りだとコンテキストを消費する場合があります。181個のスキルは段階的に読み込まれるとはいえ、使わないスキルを整理するとよりスリムに動作します。
アップデートが頻繁です。活発に開発されているのは良いことですが、自分でカスタマイズした部分がある場合は上書きに注意してください。
まとめ : 「知識」を「仕組み」に変える
Claude Codeのベストプラクティスって、知っているだけでは意味がなくて、毎回のセッションで意識して実行し続けないといけないんですよね。「プランモードから始めよう」「コードレビューを忘れずに」「学んだことを記録しよう」。頭ではわかっていても、忙しいとつい省略してしまう。
ECCは、そういった「やったほうがいいけど面倒なこと」を仕組みで自動化してくれます。plannerが計画を自動で立て、code-reviewerが自動でチェックし、instinctシステムが自動で学習を蓄積し、フックが品質を仕組みで担保する。
「ベストプラクティスを知っているけど、毎回意識するのは大変」。そう感じている人にとって、ECCはかなり良い選択肢だと思います。
/plugin marketplace add https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
/plugin install ecc@ecc
この2行から始めてみてください。
参考リンク:
Everything Claude Code (GitHub): https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
Affaan Mustafa「The Longform Guide to Everything Claude Code」(X): https://x.com/affaanmustafa

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Claude Codeハッカソン優勝プラグインの全解説
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Claude Code、使ってますか?
僕の周りでも使い始めた人が増えてきたんですが、「インストールしたけど、そこからどう育てればいいかわからない」という声をよく聞きます。CLAUDE.md(プロジェクトのルールを書いておく記憶ファイル)は作ったほうがいいらしい。コマンドも自作できるらしい。サブエージェント(専門AIを分身として立ち上げる仕組み)も便利らしい。でも、全部ゼロから自分で設定するのは正直めんどくさいですよね。
そんな人にぴったりのものを見つけました。
「Everything Claude Code」、通称ECC。
0:00 / 1:32
Everything-claude-code
GitHub(ソースコードの共有サイト)のスター数14万超え。コントリビューター(開発に参加した人)は170人以上。しかも作者は、Anthropic(Claude Codeを作っている会社)のハッカソンで優勝した開発者。
何がすごいかというと、47個の専門エージェント、181個のスキル、79個のコマンド、自動化フック、セキュリティスキャナー。これらが全部パッケージになっていて、Claude Codeに「インストールするだけ」で使えます。
ただ、単にインストール方法を紹介するだけだともったいないので、この記事ではECCの中身の解説に加えて、作者のAffaanがX上で公開している運用テクニック(47万回以上読まれている「Longform Guide」)も噛み砕いて紹介します。コンテキスト管理、トークン最適化、並列実行といった「Claude Codeを本気で使いこなすための考え方」です。
https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
その前に、、、
Xでは発信していないマル秘情報をオプチャで発信予定です。
興味のある方はこちら
https://t.co/9LOoUYvCbO
そもそもECCって何?
一言で言うと、Claude Codeの「強化パック」です。
Claude Codeには6つの拡張機能があります。ざっくり説明すると、CLAUDE.md(プロジェクトのルールを記憶させるファイル)、Commands(よく使う指示をテンプレート化する仕組み)、Subagents(専門AIを立ち上げて委任する仕組み)、Skills(状況に応じて自動参照される知識パック)、Hooks(ファイル変更やセッション終了時に裏で走る自動処理)、Plugins(これらをまとめて配布するパッケージ)。
ECCは、この6つ全部に対して「プロが10ヶ月以上かけて作り込んだ設定」を一括でインストールしてくれるプラグインです。
たとえるなら、スマホを買ったときに自分で1つずつアプリを入れていく代わりに、「仕事で使うアプリ全部入りパック」をインストールする感じ。
ただ、ここが大事なんですが、ECCは「ただの設定集」ではありません。公式のREADME(プロジェクトの説明書)にもこう書かれています。
Not just configs — a complete system: skills, instincts, memory optimization, continuous learning, security scanning, and research-first development. (ただの設定ではない。スキル、直感、メモリ最適化、継続的学習、セキュリティスキャン、リサーチファースト開発を含む完全なシステムだ。)
つまり、Claude Codeの使い方そのものを底上げする「仕組み」なんですよね。
生まれた経緯 : ハッカソン8時間で15,000ドル
ECCの作者はAffaan Mustafaという開発者です。
2025年9月、AnthropicとシリコンバレーのVCファーム(投資会社)Forum Venturesが共催したハッカソンに参加。チームメイトと一緒に、Claude Codeだけを使って「zenith.chat」というサービスをわずか8時間で構築しました。
結果は優勝。賞金として15,000ドル(約230万円)分のAPI(外部サービスと連携するための仕組み)クレジットを獲得しています。
そのハッカソンでClaude Codeを極限まで使い倒した経験が、ECCの原型になりました。「この使い方をするとClaude Codeの出力が良くなる」「こう設定すれば事故が減る」というノウハウを、再利用可能な形にまとめていったわけです。
そこから半年以上、毎日のようにアップデートされ続けて、2026年4月時点でバージョン1.10.0。170人以上の開発者からのフィードバックが反映されたかなり成熟したプロジェクトです。
ECCの中身 : 6つの主要コンポーネント
ECCの全体像を掴むために、6つの構成要素を順番に見ていきます。
1. エージェント(47個): 専門家チームを丸ごと雇う
Claude Codeには「サブエージェント」という、専門AIを立ち上げてタスクを委任する仕組みがあります。ECCにはこの専門AIが47個も定義済みで入っています。
ざっくり5つのカテゴリに分かれます。
「設計・計画系」にはplannerとarchitectがいます。plannerは「ユーザー認証を追加したい」のような要件を伝えると、「まずデータモデルを定義して、次にAPIを作って…」と段階的な計画書を自動生成してくれます。たとえば /plan ログイン機能を追加 と打つだけで、認証方式の選定からDB設計、API実装、フロント実装まで網羅した計画が出てきます。architectはシステム全体の設計判断を担当。「この機能はどういう構造で作るべきか?」に答えてくれる存在です。
「コードレビュー系」にはcode-reviewerがコードの品質や保守性をチェックし、security-reviewerがセキュリティの穴がないかを見てくれます。
「言語別レビュアー」はTypeScript、Python、Go、Java、Kotlin、C++、Rustなど、言語ごとの専用レビュアー。各言語の作法を知っているので、汎用レビュアーよりも精度の高い指摘ができます。
「テスト・品質系」ではtdd-guideがテスト駆動開発(テストを先に書いてからコードを書く手法)をガイド。e2e-runnerがPlaywright(ブラウザ操作の自動化ツール)を使った画面テストを実行してくれます。
「自動化・運用系」にはbuild-error-resolverがいて、コンパイル(コードを実行可能な形に変換する処理)エラーが出たときに自動で原因を特定して修正。loop-operatorは長時間の自動実行を監視して、処理が止まっていないかチェックします。
ポイントは、これらのエージェントが「必要なタイミングで勝手に起動する」こと。コードを変更したらcode-reviewerが動き、新機能の相談をしたらplannerが動く。いちいち「レビューして」と頼まなくていいんです。47個も覚えきれないと思うかもしれませんが、覚える必要がないのがECCの設計のうまいところです。
2. スキル(181個): 知識の百科事典
スキルは「Claudeが状況に応じて勝手に参照する知識パック」です。ECCには181個のスキルが入っていて、ほぼあらゆる開発シーンをカバーしています。
言語ごとのベストプラクティス(Go、Python、C++、Java、TypeScript等)、バックエンドの設計パターン(API設計、データベース、キャッシュ戦略)、フロントエンドの作法(React、Next.js)。さらに開発以外の領域として、記事の執筆、プレゼン作成、競合分析レポートの生成にも対応しています。
181個もあると「全部読み込んだらClaude Codeが重くなるのでは?」と心配になりますよね。ここはうまく設計されていて、「Reactのコードを書いているとき」にはReactのスキルだけ、「セキュリティの話をしているとき」にはセキュリティのスキルだけが参照される仕組みです。必要なときに必要な知識だけ開かれるので、コンテキストウィンドウ(Claude Codeが一度に扱える情報量の上限)を圧迫しません。
3. コマンド(79個): ワンタッチで呼び出す
コマンドは「よく使う指示をテンプレート化して、スラッシュ1つで呼び出す仕組み」です。ECCには79個入っています。よく使うものをいくつか紹介します。
/plan は実装計画を立てるコマンド。plannerエージェントが要件定義書を自動生成してくれます。
/tdd はテスト駆動開発を開始するコマンド。「まずテストを書いて、通るように実装する」サイクルを回します。
/code-review は今の変更内容をレビューしてもらうコマンド。
/security-scan はセキュリティスキャンの実行。1,282個のテストケースでコードの安全性をチェックします(後で詳しく説明します)。
/skill-create はGit(バージョン管理ツール)の履歴を分析して、自分のプロジェクト固有のスキルを自動生成。「自分のプロジェクトに特化した知識パック」を自動で作ってくれるのは、けっこう感動します。
/instinct-status はECCが学習した「直感」を信頼度付きで一覧表示。これも後ほど詳しく説明します。
4. フック : 裏で自動的に走る番人
フックは「特定のイベントが起きたとき、裏側で自動実行される処理」です。ECCのフックは開発の品質を「仕組み」で担保してくれます。
セッション開始時のフックは、前回のセッション(作業の回)で保存したコンテキスト(作業の文脈情報)を自動で読み込みます。「昨日どこまでやったっけ?」がなくなる。
コード編集後のフックは、ファイルを変更するたびにリント(コードの書き方チェック)やタイプチェック(型の整合性チェック)を自動実行。
セッション終了時のフックは、今回のセッションの要約を自動保存。次のセッション開始時にこれが読み込まれるので、途切れのない開発体験になります。
動作レベルは3段階で調整可能。minimal(最小限)、standard(通常)、strict(厳格)。プロジェクトの性質に合わせて切り替えられます。
5. ルール : 絶対に守らせるガイドライン
Claude Codeには.claude/rules/というフォルダにルールファイルを置く仕組みがあります。ECCのルールは言語ごとに細かく整備されていて、TypeScript、Python、Go、Java、Kotlin、C++、Rust、PHP、Perl、Swiftの10言語に対応。インストール時に自分が使う言語だけを選んで入れられます。
ちなみにスキルとルールの使い分けですが、公式ではこう説明されています。「フックは決定論的、スキルは確率論的」。100%守らせたいもの(フォーマット、セキュリティ)はフック経由で強制し、Claudeの判断に任せていいもの(設計パターンの選択など)はスキルで提供する。
6. MCP設定 : 外部ツールとの連携
MCP(Model Context Protocol:Claude Codeが外部ツールと連携するための仕組み)の設定が16種類以上プリセットで入っています。GitHub、Supabase(データベースサービス)、Vercel(Webサイトの公開サービス)などとの連携がすぐ使えます。
ここからが本番 : ECCの「上級テクニック」
ここまでの内容は、いわば「ECCの箱の中身」です。ここからは、作者のAffaanがLongform Guideで公開している運用テクニックを紹介していきます。ECCを使いこなすための考え方が詰まっているので、ぜひ読んでみてください。
コンテキスト管理 : セッションを跨いで記憶を繋ぐ
Claude Codeを使っていて「昨日の続きをやりたいのに、また最初から説明しないといけない…」と感じたことはないでしょうか。
ECCはこの問題を「メモリ永続化フック」で解決しています。仕組みはこうです。
セッション開始時(SessionStartフック)に、前回保存したコンテキストファイルを自動で読み込む。作業中にコンテキストの圧縮(情報量を削減する処理)が走る前(PreCompactフック)に、重要な状態を別ファイルに退避する。セッション終了時(Stopフック)に、今回のセッションの要約を~/.claude/sessions/に保存する。
SESSION 1 SESSION 2
───────── ─────────
[開始] [開始]
│ │
▼ ▼
セッション開始フック ←──── セッション開始フック ← 前回のコンテキスト読み込み
│ │
▼ ▼
[作業中] [作業中](前回の文脈を把握済み)
│
▼
圧縮前フック → 状態を退避
│
▼
終了フック → セッション要約を保存 ──────→
Affaanは、セッションファイルには「検証済みでうまくいったアプローチ」「試したけどダメだったアプローチ」「まだ試していないアプローチと残タスク」を含めることを推奨しています。次のセッションでClaude Codeが「前回ダメだった方法」を繰り返さなくなるので、かなり効率が上がります。
もう1つ、「戦略的コンパクト」というテクニックがあります。Claude Codeには自動でコンテキストを圧縮する機能がありますが、これが作業の途中で発動すると、必要な情報まで削られてしまうことがあります。そこで自動圧縮を無効にして、フェーズの切り替え時(「調査が終わって実装に移る」「機能Aが完成して機能Bに取りかかる」など)に手動で圧縮する。ECCにはこのタイミングを提案してくれるスキルも入っています。
継続的学習 : 使うほど賢くなるinstinctシステム
Claude Codeを使っていると「さっきも同じこと言ったのに…」とイライラすることがありますよね。前のセッションで教えたはずのことを、次のセッションではすっかり忘れている。
ECCの「instinct(直感)」システムは、この問題を解決します。
セッション中にClaude Codeが発見したパターン、たとえば「このプロジェクトではこの書き方をするとエラーが出る」「このデバッグ手法が有効だった」「この回避策がうまくいった」といった知見を、セッション終了時に自動で抽出して保存します。
保存されたinstinctには信頼度スコアがつきます。何度も確認されたパターンほどスコアが上がり、Claude Codeがより積極的に参照するようになる。逆に、一度しか出てこなかったパターンは控えめに扱われます。
Affaanはこう説明しています。「セッション中に同じ問題で2回以上プロンプト(指示文)を打ち直した経験はないですか?あのパターンをスキルとして保存しておけば、次のセッションでは最初から正しい方向に進んでくれます。」
/instinct-status で現在の学習状況を確認でき、/instinct-export で他のプロジェクトや他の人と共有できます。/evolve を使うと、似たようなinstinctをまとめて新しいスキルに昇格させることもできます。
セッション終了を待たず、作業中に「あ、これは覚えておいてほしい」と思ったら /learn コマンドでその場で抽出もできます。
ちなみに、なぜセッション終了時(Stopフック)なのかという点について。ユーザーの入力のたびに学習処理を走らせると、毎回のレスポンスに遅延が発生します。セッション終了時なら1回だけで済むし、セッション全体を俯瞰して評価できるので精度も高い。
トークン最適化 : コストを下げて精度を上げる
Claude CodeはAPI(外部サービスとの連携窓口)の使用量に応じてコストがかかるので、「同じ成果をより少ないトークン(AIが処理するテキストの単位)で達成する」のは大事なテーマです。Affaanはいくつかの手法を紹介しています。
まず、サブエージェントにモデルを指定する方法。エージェントの定義ファイルで、タスクの難易度に応じてモデルを使い分けられます。
---
name: quick-search
description: ファイル検索
tools: Glob, Grep
model: haiku # 安くて速い
---
Affaanの推奨は「タスクの90%はSonnet(中位モデル)で十分。Opus(最上位モデル)に上げるのは、1回目で失敗したとき、5ファイル以上にまたがるとき、設計判断が必要なとき、セキュリティに関わるとき。Haiku(軽量モデル)に下げるのは、繰り返し作業や指示が明確なワーカー的タスク」。
コスト的にはHaikuとOpusの差が5倍あるので、単純作業をHaikuに振るだけでかなり節約できます。
次に、MCPをCLI(コマンドラインツール)スキルで置き換える方法。GitHub MCP、Supabase MCP、Vercel MCPなど、外部サービスとの連携にMCPを使っている人は多いと思いますが、これらはコンテキストウィンドウを消費します。
でもこれらのサービスにはCLIが用意されていて、MCPがやっていることとほぼ同じことができます。たとえばGitHub MCPの代わりに/gh-prというコマンドを作って、gh pr createを中でラップ(包み込んで使いやすくすること)する。機能は同じ、コンテキストの消費は減ります。
ただし、最近はMCPの遅延読み込み(必要になるまでコンテキストに載せない)が実装されたので、コンテキスト消費の問題はだいぶ改善されました。それでもトークンのコスト自体は変わらないので、ヘビーユーザーには依然として有効な手法です。
そして、コードベースをモジュラーに保つこと。1つのファイルが数千行もあると、Claude Codeはそのファイルを読み込むだけで大量のトークンを消費します。しかも途中で情報が抜け落ちるリスクもある。機能ごとにファイルを分割して、1ファイル数百行程度に保つと、トークン効率もClaude Codeの精度も上がります。
動的システムプロンプト : 場面に応じてコンテキストを切り替える
これは上級テクニックですが、知っておくと便利です。
通常、Claude Codeにコンテキストを与える方法は.claude/rules/にファイルを置くか、@ファイル名で参照するかのどちらかです。この場合、Claudeは会話中にReadツールでファイルを読み込みます。
もう1つの方法として、CLI(コマンドラインツール)の起動オプションで直接システムプロンプト(AIに最初に与える指示)に注入する方法があります。
claude --system-prompt "$(cat memory.md)"
違いは「指示の優先度」です。システムプロンプトの内容 > ユーザーメッセージ > ツール結果の読み込み、という階層があるので、絶対に従わせたいルールはシステムプロンプトに入れたほうが確実です。
Affaanはこれをエイリアス(ショートカットコマンド)で使い分けることを提案しています。
# 通常の開発モード
alias claude-dev='claude --system-prompt "$(cat ~/.claude/contexts/dev.md)"'
# PRレビューモード
alias claude-review='claude --system-prompt "$(cat ~/.claude/contexts/review.md)"'
# リサーチモード
alias claude-research='claude --system-prompt "$(cat ~/.claude/contexts/research.md)"'
dev.mdには実装に集中するための指示、review.mdにはコード品質とセキュリティに注目する指示、research.mdには「すぐコードを書かず、まず調べてから動く」指示を書いておく。作業内容に応じてモードを切り替えられるわけです。
ただしAffaan本人も「多くの場合、.claude/rules/との差は微小。ツール呼び出しが1回減るのと、優先度が少し上がるだけ。手間に見合わない人も多い」と補足しています。
並列実行 : 複数のClaudeを同時に走らせる
Claude Codeは複数のターミナル(黒い画面)で同時に立ち上げて、並列で作業させることができます。ECCの文脈では踏み込んだパターンが紹介されています。
Affaanのおすすめは、メインのチャットではコード変更作業、フォーク(分岐)したチャットではコードベースへの質問、外部ドキュメントの調査、GitHubでの情報収集といったリサーチ用途に使い分けるスタイルです。
Claude Code開発者のBoris Chernyは「ターミナル5個にClaudeを立ち上げて並列で回す」と紹介していますが、Affaanは「最低限の並列度で最大の成果を出すのが目標。僕も普段は2〜3インスタンス(実行中のClaude Code)しか使わない」と言っています。無理に並列数を増やすと、管理コストのほうが高くつくことがあるんですよね。
もし複数のClaude Codeで同じコードに変更を加える場合は、Git Worktree(同じプロジェクトの別ブランチを同時に作業できるGitの機能)を使います。
# 機能Aの作業スペースを作成
git worktree add ../project-feature-a feature-a
# 機能Bの作業スペースを作成
git worktree add ../project-feature-b feature-b
# それぞれ別のClaude Codeインスタンスで作業
cd ../project-feature-a && claude
お互いの変更がぶつかる心配がなく、完成後にマージ(統合)するだけです。
並列実行時の管理術として「カスケードパターン」も紹介されています。新しいタスクは右のタブで開き、左から右へ巡回する。同時に注意を向けるのは3〜4タスクまで。それ以上は管理の負荷のほうが生産性の向上を上回る、と。
検証ループ : 「できた」を証明する
ECCの設計思想の根幹にあるのが「検証」です。作って終わりではなく、正しく動くことを証明するまでがタスク。Affaanはこれを2つのパターンに分類しています。
「チェックポイント型」は、タスクを段階に分けて、各段階の終わりに検証基準を設定するパターンです。「フェーズ1:データモデル定義 → テスト → フェーズ2:API実装 → テスト → フェーズ3:フロント作成 → テスト」のように、明確な節目があるタスクに向いています。
「連続型」は、一定時間ごと、または大きな変更があるたびにテストを回し続けるパターンです。リファクタリング(コードの整理整頓)やメンテナンスのように、明確な区切りがないタスクに向いています。
ECCのフックとエージェントはこの検証ループを自動で回してくれます。PostToolUseフック(ツール使用後に走る処理)でClaude Codeが加えた変更をログに残し、code-reviewerが品質チェックをし、build-error-resolverがエラーがあれば修正する。人間が「テスト回して」と言わなくても勝手にやってくれるのがECCの強みです。
サブエージェントの運用術 : コンテキスト問題を解決する
サブエージェントには1つ落とし穴があります。
サブエージェントはメインのClaude Code(オーケストレーター)から「この調査をして結果をまとめて」と指示されますが、オーケストレーターが持っている文脈をサブエージェントは持っていません。だから、返ってくる要約に「肝心な部分が抜けている」ことがあるんですよね。
Affaanはこれを「上司と部下のミーティング要約」にたとえています。「上司があなたをミーティングに送って要約を頼む。あなたはちゃんとまとめるけど、10回中9回は上司から追加の質問が飛んでくる。上司の暗黙のコンテキストを持っていないから。」
解決策として「反復的取得パターン」が紹介されています。
オーケストレーターがサブエージェントに「クエリ(調査事項)+目的(なぜこの調査が必要か)」を一緒に渡す
サブエージェントが結果を返す
オーケストレーターが「これで十分か?」を評価する
不十分なら追加の質問を投げる
サブエージェントが追加調査して返す
最大3サイクルまで繰り返す
ポイントは「クエリだけでなく目的も渡す」こと。目的がわかっていれば、サブエージェントは要約のどこに力を入れるべきか判断できます。
セキュリティスキャン : 1,282テストの防壁
ECCには「AgentShield」というセキュリティスキャンの仕組みが内蔵されています。
npx ecc-agentshield scan
1,282個のテストケースと102個のセキュリティルールでコードをチェックします。攻撃手法の検知、サンドボックス(安全な実行環境)の確認、入力データの無害化チェックなど。
--fixオプションをつけると、安全に修正できる問題は自動で直してくれます。
npx ecc-agentshield scan --fix
セキュリティは「後から対応すると大変」な領域なので、開発中にこまめに回すのがおすすめです。
インストール方法 : 3ステップで完了
2つの方法がありますが、まずは簡単なほうから。
方法1 : プラグインインストール(おすすめ)
Claude Codeを開いて、以下を入力するだけです。
/plugin marketplace add https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
これでECCのマーケットプレイス(配布元)が登録されます。次に、
/plugin install ecc@ecc
これでインストール完了。エージェント、スキル、コマンド、フックが一括で入ります。
ただし、ルールだけはプラグインシステムで配布できない仕様なので、手動でコピーします。
# 共通ルールのインストール
cp -r rules/common/* ~/.claude/rules/
# 自分が使う言語のルールを追加(例:TypeScript)
cp -r rules/typescript/* ~/.claude/rules/
Python、Go、Javaなど、自分が使う言語だけ選んで入れてください。使わない言語のルールは入れなくてOKです。
方法2 : 手動インストール
リポジトリ(プロジェクトの保管場所)を丸ごとダウンロードする方法です。
git clone https://github.com/affaan-m/everything-claude-code.git
cd everything-claude-code
npm install
./install.sh --profile full
Windowsの場合は .\install.ps1 --profile full に変えてください。
--profile fullは全部入りオプション。必要なものだけ入れたい場合は、各フォルダから手動で.claude/ディレクトリ(フォルダ)にコピーする方法もあります。
インストール後にやること
Claude Codeを開いて /plan ログイン機能を追加 のように打ってみてください。plannerエージェントが起動して実装計画を作り始めたら成功です。
まずは /plan と /code-review の2つだけ使ってみるのがおすすめ。この2つだけでも「計画 → 実装 → レビュー」のサイクルが回るので、ECCの恩恵を十分に感じられます。慣れてきたら /tdd でテスト駆動開発を試して、/security-scan でセキュリティチェックを追加して、という感じで少しずつ広げていけばOKです。
動作要件として、Claude Code CLIのバージョンが2.1.0以上であることが必要です。claude --version で確認できます。
他の有名ワークフローとの比較
GitHub上にはClaude Codeの使い方をパッケージ化した有名なワークフローがいくつかあります。ECCとの違いを整理しておきます。
Superpowers(スター数12.2万)はテスト駆動開発を最重視するスタイル。ECCでいうとtdd-guideエージェントと/tddコマンドがこの思想をカバーしています。
Spec Kit(スター数8.3万)は仕様書駆動のアプローチ。ECCではplannerエージェントが要件定義書を自動生成してくれるので、似た体験が得られます。
Get Shit Done(スター数4.4万)は実用重視で並列実行を多用するスタイル。ECCのGit Worktreeとの組み合わせやカスケードパターンが近い思想です。
ECCの特徴は、これらのスタイルを「選んで使える」こと。テスト重視で行きたければtdd-guideを中心に、仕様書重視で行きたければplannerを中心に、スピード重視で行きたければ並列実行を中心に。1つのプラグインの中で、自分の開発スタイルに合わせて使い方を変えられます。
エージェント活用の心構え : 段階的に使う
Affaanが引用しているエージェント活用のランキングが参考になるので紹介します。
Tier 1(使いやすい)は、サブエージェント、メタプロンプティング(AIにプロンプトを考えさせる手法)、最初にたくさん質問する。これらは導入コストが低くて効果が大きい。
Tier 2(使いこなすのが難しい)は、長時間エージェント、並列マルチエージェント、ロールベースのマルチエージェント。高い効果が出る可能性がある一方、設定や管理の手間も大きい。
まずはTier 1をしっかり使いこなしてから、必要に応じてTier 2に手を出す。逆に言えば、Tier 1だけでもかなりの生産性向上が見込めます。
こんな人におすすめ / こんな人にはまだ早い
Claude Codeを使い始めたばかりの人には、正直まだ早いと思います。まずはCLAUDE.mdを自分で書いてみて、Commandsも1〜2個作ってみて、Claude Codeの基本的な使い方に慣れてからのほうが、ECCの各コンポーネントが何をやっているか理解できて効果が高いです。
逆に、Claude Codeをある程度使っていて、エージェントやスキルの設定を自分でゼロから作るのは面倒だと感じている人にはおすすめです。ECCを入れるだけで、かなり整備された開発環境が手に入ります。
チームで使っている場合もおすすめ。ルールとエージェントを共有すれば、全員が同じ品質基準でAIを活用できます。
複数の言語やフレームワーク(開発の枠組み)を使うプロジェクトにも向いています。12以上の言語に対応しているので、言語ごとに適切なレビューとルールが適用されます。
注意点
ルールのインストールは手動です。プラグインシステムではルールを配布できないので、cpコマンドでコピーする手順を忘れないでください。ここを飛ばすとECCの効果が半減します。
全部入りだとコンテキストを消費する場合があります。181個のスキルは段階的に読み込まれるとはいえ、使わないスキルを整理するとよりスリムに動作します。
アップデートが頻繁です。活発に開発されているのは良いことですが、自分でカスタマイズした部分がある場合は上書きに注意してください。
まとめ : 「知識」を「仕組み」に変える
Claude Codeのベストプラクティスって、知っているだけでは意味がなくて、毎回のセッションで意識して実行し続けないといけないんですよね。「プランモードから始めよう」「コードレビューを忘れずに」「学んだことを記録しよう」。頭ではわかっていても、忙しいとつい省略してしまう。
ECCは、そういった「やったほうがいいけど面倒なこと」を仕組みで自動化してくれます。plannerが計画を自動で立て、code-reviewerが自動でチェックし、instinctシステムが自動で学習を蓄積し、フックが品質を仕組みで担保する。
「ベストプラクティスを知っているけど、毎回意識するのは大変」。そう感じている人にとって、ECCはかなり良い選択肢だと思います。
/plugin marketplace add https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
/plugin install ecc@ecc
この2行から始めてみてください。
参考リンク:
Everything Claude Code (GitHub): https://github.com/affaan-m/everything-claude-code
Affaan Mustafa「The Longform Guide to Everything Claude Code」(X): https://x.com/affaanmustafa